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初詣とはどういう行事?-初詣のルーツと歴史をひもとく-

初詣の歴史は意外に新しい?!

江戸時代にはなかった「初詣」という風習

師走の最終日、すなわち大晦日の夜から元旦にかけて、一家の家長が地域の氏神様のお社に籠り、豊作などを祈願する「年籠り」という行事に参加するのが一般的でした。

ほかにも家長には、夜が明けたら若水をくむなどの大事な役目がありました。

そうなると、家長は毎年元旦の朝は確実に徹夜明け...ですね。

 

江戸時代の庶民の交通手段は徒歩

現代は、電車、バス、自動車、航空機など、短時間で長距離を移動する移動手段の選択肢はかなり豊富です。

ですが、江戸時代となると庶民の移動手段は基本的に徒歩に限られます...となれば、今のような初詣はとうてい不可能な時代だったといえるでしょう。

 

そんなこんなで、昔は元旦は家で過ごすというのが一般的だったんです。

   

昔は恵方参りと初縁日参りが主流

では、当時は新年に寺社に詣でるということがなかったのかというと、そうではありません。

その年の年神様がいる方角を「恵方」といいます。新年にその年の恵方にお参りするといった「恵方参り」をされる方もいました。

また、新年には、多くの社寺で初縁日が行われます。

観音様の縁日ですと18日、お大師様の縁日は21日、天神様の縁日は25日というように、神仏ごとに毎月の縁日があります。

年のはじめの縁日に、社寺をお参りするといったことは江戸時代も盛んに行われていたようです。

とはいえ、やはり徒歩圏(昔の人は片道2~3里は平気だったらしいですが)に限られていたようです。 

 

→初縁日など、新年の寺社の行事についてはこちら

 

交通網の整備とともに発展した「初詣」の風習

 

文明開化が寺社詣を盛んにした

明治に入り文明開化が進むと、それとともに鉄道網が整備されていきます。

「汽笛一声新橋を~」の歌で有名なのは、新橋-横浜間の鉄道路線(現東海道線)ですが、この路線には「川崎駅」があります。

 

そうです。この鉄道路線の開業によって、今も初詣人気のランキング常連の川崎大師(金剛山金乗院平間寺)にお参りするのが格段に楽になったんです。

さらに明治32年に大師電鉄(京浜急行の前身)ができると、徒歩の距離も短くなり、川崎大師にお参りするのはもっと手軽になります。

 

鉄道路線網の整備が進むにつれ、沿線では寺社詣が格段に楽になっていったわけです。

楽になれば...お正月休みにちょっと気軽に遠方の寺社に行楽がてらにお詣り...ということが可能になってきます。

 

伊勢神宮は参宮線(官鉄、後にJR東海)や参宮急行電鉄(後に近鉄大阪線)、伏見稲荷大社は東海道本線(官鉄、現JR奈良線)、成田山新勝寺は、成田線、宮城県の竹駒神社、塩竈神社は東北本線、兵庫の西宮神社は東海道線といった路線の開通で、急激に参詣が手軽になっていった社寺です。

   

社寺詣でと路面電車(電気軌道/チンチン電車)

京都市電の発達に見る寺社詣

ここに一枚の古い地図があります。明治期の京都市内の地図です。

 

 

これは、明治39年発行の京都の観光案内の本にあったものですが(管理人宅の物置にあったもの。表紙の色移りで若干見にくいですがご容赦を)、鉄道はあるものの、その他は何もありません。地図上の社寺を結ぶ線は何かの路線ではなく、距離の記載です。

【出典:京都観光案内 編纂者:森田常二郎 発行者:小林藤次郎 石田石版堂印刷 明治39年】

京都駅から遠いエリアの社寺にはお詣りするのはなかなか大変です。京都駅から銀閣寺まで7キロありますので、約2時間!

 

これが、大正末期になると次の地図のような状況になります。

【出典:鐵道地図 和樂路屋 大正13年】

上の路線図.の黒い線、これは地下鉄でもバスでもありません。京都の路面電車の路線図です。

 

明治の中期に活発になった電気軌道の敷設ですが、大正ともなると東京、大阪、京都、名古屋等、都市部にはかなりの路面電車網ができています。

 

本格的な鉄道の敷設が遅かった地域では、路面電車の発展も寺社詣が気軽にできるようになった背景としては重要な要素かと思います。

 

社寺の宣伝合戦と鉄道の集客戦略

交通網の発展は、社寺から見た場合、参詣客を集めやすくなったといえるかも知れません。

鉄道の開業から始まった、気軽な行楽としての寺社参りの人気は、やがて社寺の縁日や恵方参りの宣伝合戦につながり、さらに併走する鉄道路線ができてくると、新年時期の鉄道会社の乗客獲得合戦にもつながっていったのだそう。

  

今も大晦日には多くの鉄道で終夜運転がありますし、初詣切符も多数発売されています。

さて、初詣にはどちらにお詣りしましょうか?

  


鉄道が変えた社寺参詣 初詣は鉄道とともに生まれ育った (交通新聞社新書) 2012  

 


 

投稿者:狸穴猫


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