パスツールさんのおかげ-牛乳の殺菌の話-
牛乳に殺菌はつきもの
パックや瓶に詰められる前に牛乳のほとんどは殺菌される。
牛乳は栄養たっぷりだから、体に害のある細菌にとってもごちそうなんだ。だから冷蔵して細菌が増えないようにするだけではなく、パック詰めする前に殺菌しておかないとすぐ有害な細菌が繁殖してしまう。悪くなってしまう。
だから、牧場でしぼりたての牛乳を飲むのでないかぎり、ほとんどの場合、殺菌は牛乳につきものなんだ。
みんなが安全でおいしい牛乳が飲めるように、商品としてお店に並ぶ牛乳は必ず殺菌し、どういう風に殺菌したか表示しなければならないんだ。
牛乳のパックの外側の品質表示部分を見てみよう。必ず、
殺菌 ○○℃ ○秒(分
という表示があるはずだ。
手近に牛乳パックがあるなら、ちょっと見てみてごらん。
そう、これが殺菌の方法を書いた部分だ。
牛乳をどうやって殺菌するのか
殺菌にはいろんなやり方があるが、基本的には牛乳の殺菌は薬品などを用いずに、加熱して殺菌する方法だ。食べ物なだけに、薬品とかをいれるわけにはいかないからね。
有害な細菌を殺すためにどのくらいの温度でどのくらいの時間をおいたらいいかいろいろ研究されていて、 もっとも古いものはパスツールさんという科学者が発明した方法でパスチャライズと呼ばれている方法だ。これは65~70℃前後の温度で30分程度加熱することによって有害な菌を死滅させる。
だが、現在もっとも多いのは120℃から130℃で2秒程度殺菌する方法だ。この方法だと短時間で大量の牛乳を殺菌することができるので、多くの牛乳をすばやく処理できるので、より大量の牛乳を市場にだすことができるようになったんだ。
容器ごと加熱する方法と、高温の蒸気をあてて加熱する方法などがある。
牛乳に合った殺菌方法が開発され、やっと牧場でなくても気軽に牛乳が飲めるようになったんだ。もちろん、低温にして細菌を増えにくくする冷蔵庫の普及も牛乳の普及には大きな影響があったけどね。
牛乳の殺菌方法のいろいろ
牛乳の殺菌方法を表にしてみると下のようになる。
殺菌方法の例 | 特徴 | ||
低温殺菌(パスチャライズ) | 65℃ | 30分 | 昔からある方法。 牛乳の成分が壊れにくく、この方法で殺菌したものはおいしいといわれているが、時間がかかるのが難点。 |
75℃ | 15分 | ||
高温殺菌 | 120~130℃ | 2~3秒 | 今、もっとも多く使われている殺菌方法。 85度程度に予備加熱をしてから一気に加熱する。 |
超高温殺菌 | 140℃ | 2~3秒 | ほかの殺菌方法に比べて格段に日持ちがよい。 アルミ蒸着パックに詰められてロングライフ(LL)ミルクと呼ばれて売られている。 |
低温殺菌はまだわかるけど、水はふつう100℃までしか温度が上がらないのにどうやって120℃とかの温度に上げるんだろうね? |
牧場以外で無殺菌で売られている牛乳って?
実は非常に珍しいものだけど、無殺菌で売られている牛乳があるんだ。
牛から原乳をしぼるとき、大抵、有害な細菌がかなりの数入り込んでしまうんだけど、牛の状態をよくすることと、衛生管理を徹底することによって原乳の細菌数が相当減らせるらしい。
そうやってしぼった有害な細菌の数が非常に少ない牛乳が無殺菌のまま衛生的な瓶に瓶詰めされて販売されている。
ツイート |
投稿者:狸穴猫