小説7話 孤独なパイロット

この話で出てくる人物、機体
ノイン・ルクレティア 本編でも出てきます。ゼクスの友人(恋人?)。

<HLVシャトル> ガンダムやモビルスーツの輸送、さらには民間の人間を乗せることもあるシャトル。本編でもきっちり出てくる。

モビルドール そろそろこの説明が必要だろう。これを知るだけで今後の展開がずいぶん違って見える。

モビルドールとは人間がパイロットとして搭乗せずとも起動する、無人のモビルスーツ。人に似せた人ではない機体として、人形・・・すなわちドールの名ということで、モビルドールになった。本来、戦闘をするのは自動なので、ガンダムのパイロットが相手では、話にもならなかったが、ゼロシステム等の遠隔操作システムをつけることで、戦術プログラムを起動することが可能。これにより過去に、ヒイロ達も苦戦した。

トレーズ・クシュリナーダ マリーメイア・クシュリナーダの父親。かつてOZという組織の総帥であった。

ガンダムエピオン 決闘用モビルスーツの一つ。攻撃力は普通のモビルドールをはるかに超えており、またゼロシステムを搭載しているため、通常のパイロットが乗れるほど安定していない機体。開発者はトレーズ・クシュリナーダ。
本来はヒイロが乗っていたが、やがてエピオンとウィングガンダムゼロを入れ替えるようにして、ゼクスの愛機となった。
クーデターの前の戦争では、ゼクスが地球に宣戦布告したときに使われたモビルスーツ。
今は残骸ものこっていない。ゼクスはその後に、クーデターを阻止するためにトールギスVに搭乗したのである。

シュナイン「完全平和主義という意味がお前達にはわかるか?」
五飛「なに?何故そんなことを聞く」
シュナイン「いいから答えろ」
リリーナ「いいでしょう、私が唱えたことですから。」
そういうとリリーナは口をあけて
”完全平和主義・・・。武力を完全排除するために提言された主義。相手の武装解除を促すために、自分も武装解除し、恒久の平和を作り出すための・・。つまり、一切私達は武器を持つことなく、平和を保つために作られた言葉よ”
そういうとシュナインはこう答えた。
シュナイン「そう、それが表の意味だ」
リリーナ「なんですって?」
シュナイン「そうだ。俺たちは何の意味もなく完全平和主義に反旗を唱えたのではない。」
リリーナ「説明してもらいましょうか」
シュナイン「いいだろう・・・。」
マッチを複数取り出し、リリーナの目の前に出して見せた。
シュナイン「このマッチに例えると・・・だ。たった1本のマッチを完全平和主義の実現者だとしようか。完全平和主義の前には何万人の犠牲が出た?次々と完全平和に対するものを倒していく。たった1本のマッチに統一されるまでに、何本のマッチが倒された?数は計り知れない。」
マッチに火をつけて煙草に火をつけた。
シュナイン「こうやって、何かのきっかけがあるとすぐにその危うさは発火する。俺たちがその発火元だとすると、それをどう消火する?なんらかの犠牲が出る形で消火するならば、これが完全平和ではないし、犠牲が出なかった場合、俺たちは大統領府に襲い掛かるのみだ。
マッチのような危うさをもつこんな完全平和なんか、やめたほうがいいんじゃないのか?」
そういうと、煙草を靴で押しつぶし、火を消した。
ヒイロ「それを実現するために・・俺たちはここに来た」
シュナイン「ほう。ガンダムのパイロットか・・・。そのガンダムは一体何人の血に塗れている・・?」
ヒイロ「っつ・・・」
五飛「例え血に塗れていようとも、貴様にそれを責める権利は無い。」
ヒイロ「やめろ、五飛。こいつの言うことは正しい・・・・だが!」
そういうとシュナインのほうに顔を向けてこういった。
ヒイロ「こんな反乱をおこして何がある?」
シュナイン「完全平和を偽りということができるだけさ」
デュオ「でもあんたら、民衆が束になって大統領府に向かうのを踏み潰していけるかい?」
クロイツ「・・・・・・」
ヒルデ「あんた達も馬鹿よ。こんなことして、偽りだとか証明できるわけ無いじゃない!」
サリィ「そのとおりね。理屈に適ってないわ。あきらめなさい、血気盛んなお人達。」
五飛「貴様らは結局、墓穴を掘っただけだ。あきらめろ」
シュナイン「一つ言っておこうか。」
ヒイロ「なんだ」
シュナイン「力の無い論理に、何が言える?」
そういうと、シュナインは、”これ以上話す気が無い”とばかりに後ろを向いて去っていった。
ヒイロ「・・・・・」
すぐさま車に乗り込み帰ろうとしたヒイロ達に、
クロイツ「待ちな」
そういう声がした。
デュオ「なんだ?もう話は終わりだろ?」
クロイツ「いや、あんたらの言うことにも一理あるよ、俺たちを力無しでこんど止められたら、おまえの味方になってやるよ」
デュオ「そりゃあどうも。」
そういうと車は去っていった。

一方、とあるコロニーでは
ゼクス「今日も空が青い・・・。」
ノイン「そうですね、ゼクス」
のどかな2人と空の風景が広がっていた。
ゼクス「コロニー内では、いつまでも青いままだが、改めてみてみると綺麗だ」
ノイン「ゼクス、いままでそんなこと話しましたか?」
ゼクス「そろそろ心が穏やかになっただけだ」
そういうとゼクスは立ち上がり、ノインの夕食を食べていた。
ゼクス「こんなに澄み切っている空があっても、憂鬱な話しかニュースには流れない」
ノイン「そうですね・・・少しぐらい明るい話がでてもいいものですが・・・」
ゼクス「地球では暴動がおき、大統領府は過去のクーデターに惑わされつづけている。また私たちが必要になる日が来るのだろうか」
ノイン「それがないように祈りましょう。ゼクス」

テレビから流れる放送。
”大統領府では、今回の暴動に対し、一切の武力行使をしないをし、あくまでも完全平和主義を貫きとおすとのことです”
ゼクス「大統領らしい・・・正しい判断か?」
ノイン「今更武力に頼っても、どうしようもありませんからね・・・」
ゼクス「だがこれでひとまず解決するといいのだが・・・」
ノイン「1人として死なせないように、私は祈ってますよ。もう人殺しはごめんです。」
ゼクス「ノイン、お前が苦しむことは無い。人殺しはお前だけじゃない。コクピットごしに、私は何名の死を見たか。あのエピオンの目は、なにをみていたか」
そういうと、テレビを切り、ゼクスは話した。
ゼクス「どんなことがあったところで、私たちに使える武器はない。言えることは、私の妹の主義だけだ」
ノイン「完全平和主義・・・ですね」
ゼクス・マーキスは、本名をミリアルド・ピースクラフトという名前で、リリーナ・ピースクラフトの兄である。
ノイン「大丈夫です。それが誰にもわからなくても、私も言いつづけることができます」
ゼクス「ありがとう、ノイン。私もあのエピオンに再び乗る・・いや、もう一生MSには乗らないだろう。いや、そうでなくてはいけないな。」
そういうと、夕食を再び食べ始めた。

ヒイロの家に6人は集合した。
リリーナ「・・・・」
ヒイロ「やはり俺たちは無力だということを、突きつけられたな」
五飛「正気ではないな、あいつをなんとしてもとめないといけない」
リリーナ「だけど、シュナインさんの目、悲しそうだったわ・・・」
ヒイロ「あいつがなにか躊躇していることがあるように見えたのは、お前だけじゃない・・・・」
紅茶をいれながら、リリーナはこういった。
リリーナ「私は後悔しないわ。例え犠牲がつみあがって出来たものであっても、絶対に・・・」
ヒイロ「無理をするな」
あっさりとヒイロにいわれてしまうと、リリーナは涙をこぼした。
デュオ「おい、なにもなくことはねぇじゃねぇか」
ヒルデ「だまってなさい、あんたは」
ヒイロ「俺たちは孤独だ。孤独の中になにかを見つけなければならない。それだけだ」
リリーナ「ヒイロ、やはり貴方は人を幸せにできるわ。」
その言葉にヒイロは返すことは無かった。
深くため息をつき、デュオはこういった。
デュオ「俺たちってどうしようもねぇ馬鹿だな」
五飛「当たり前だ。今更何を言っている」
ヒイロ「そのとおりだな、俺たちは馬鹿だ」
デュオ「正真正銘の馬鹿だから、最後まで馬鹿をつきとおそうぜ?」
ヒルデ「なら私もその馬鹿につき合わせてもらうわよ」
サリィ「そうね、同じ馬鹿なら集まったほうが良いわ」
そういって、6人はそれぞれ車に乗り込み、帰っていった。

後書き
まだモビルスーツの戦いは出てこないのかぁ!と文句を言う方。
いると思いますけどもうちょいお待ちを。13話ぐらいででるんじゃないの?ってところですので。
正直、平和な世界が最初に築き上げられている以上、そうそう戦闘が出るわけにも行かないのですよ。
どうでもいい愚痴でした(ぁ
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