大学受験における実験器具の取扱い

1.はかる・測る・量る・計る
【A】 重量を量る−秤量

基本的にコレは殆ど出ない。(古典的な秤量器は結構扱いが面倒なのと最近はみなデジタルスケールをつかっちまってるので、出題者のほうも問題に出すことを考えもつかないのかもしれない。)

せいぜいおさえておかなければならないのは次の3つ
  • 中学校でやった上皿天秤の取扱い
  • 風袋(ビーカーなどの容器、薬包紙)の重量を差し引くこと
  • 吸湿性の強い固体物質(水酸化ナトリウム・塩化マグネシウムなど)をはかるときは薬包紙を使わずガラスの時計皿などの容器を使ってはかること。
【B】 液体をの量を量る

実験をやっていると液体の量を年がら年中はかるハメになる。

重量ではかるのならばAの項で済むが、高校以降では体積モル濃度を使うことが多いので、いきおい「容積」で量ることが多くなる。

●メスピペット コレは少ない量(5mlとか10mlなど)の液体の量を量る為だけの器具。
主に液体を量って他の容器に移すのに使う。
標線のちょっと上までストローの要領で液を吸い込み、すぐ上端を手でふさぎ、手で押さえる強さを加減しながら標線に液面を合わせ、他の容器に内容液を移す。

取扱いで注意しなければいけないのは自然に落としたんでは出てくれない「最後の一滴」まで「規定の量」に含まれること。このため、自然に液を落とした後、上端を指で塞ぎ、膨らみ部分を手で暖めて最後の一滴を内部の空気の膨張を利用して押し出す。

間違って口で吸ったら非常に危険な手合いの液体を量るときは口の代わりにゴム球に弁をつけて吸気と排気ができるように工夫した「安全ピペッター」ってもんを使う。
●メスフラスコ  単に液体の容積をはかるのにも使うが、何かを溶かしてある濃度(もちろん体積モル濃度の溶液を作るのにも使う。)
溶媒を先に入れるか、溶質を先に入れるかはケースバイケースだが、少な目の量の溶媒で溶質を溶かしきって、それから溶媒を追加して標線に合わせる。

メスピペットと違うところはメスピペットが「出す量」が容器に表示された量なのに対し、メスフラスコは「入っている量」が容器に表示された量であるところ。
●ビュレット これはこの容器から出した液体の量をはかる器具だ。中和滴定なんかでよく使う。
注意点はビュレットに液体を入れるときは必ず漏斗を用いること。

実はビュレットって結構長いんだよね。7、80センチくらいはある・・・コレが実験台の上にあるとなると結構液の入れ口が高い位置になるってことで、そうなると、横着こいて飛び散るとあちこち被害がでるんで必ず漏斗を使うわけ。

それと活栓が抜けないよう、活栓の操作部の反対側から握り込むようにして活栓を操作すること。(でも、コレはガラス活栓の場合のみ、最近のポリ活栓ではこの注意しなくていいようになってる)

っと、中学校でよく使ったメスシリンダー、これはかなり大まかな量を量るもの、それとビーカーの目盛りは単なる「目安」である。だから、こいつらは液体の量をはかるって場合にはお呼びでないのである。
【C】 温度を測る

温度計って実験ではホントによく使います。でも、結構その役割って違ったりする。
基本的には液体か気体の温度を測ることしかないのでそれで考える。

とりあえずどういう温度計を使うかというと次の二つ

 (a)アルコール温度計(−20度〜100度)
 (b)水銀温度計(0度〜200度)
 
 測りたい温度帯からまずは温度計を選択するのだ。


さて、温度計を使う目的には概ね次の三つがある

 (1)反応の温度を一定範囲にするよう加熱や冷却をコントロールする為の目安とするため。
 (2)反応の温度帯別に留出物を分けて回収するため。
 (3)反応相の温度の変化自体を観察するため。

温度計は球の部分で温度を検知する仕組み。だから測りたいところに球が来るようにしておくのが大事なことなのだ。

ただ、問題は容器内の温度むらなのである。容器の中だって対流は起こるわけで、温度は全てのところで一定ではない。

 (1)(3)の時は「容器に触れない液体、気体の真ん中近辺」というだけでよいが、問題は(2)のとき。
気体をその後冷却して他の容器に回収するので「ま、回収された液体の元の気体は全て最低でもこの温度にはなってますね」ということがわかるよう他の容器への流出口のすぐ手前」に温度計の球を設置する事になる。

他の取扱い注意としては、氷の中など固体に触れるように突っ込むときには金属製の保護容器の中に入れて使うってこと。温度計が壊れないようにするためだ。
そりゃ、普通の温度計はそんなに高いものじゃないけど、壊れないにこしたことはないからね。

温度計を攪拌棒がわりにしないのはいうまでもない。
【D】 PH(液性)を測る

PHを測るのは実はPHメーターが一番お手軽。(最近はデジタルの安いのがいっぱいあるし・・)センサー部の材質は今やいろいろあるようだが、試験問題では「ガラス電極」と覚えておけばいい。

あとは呈色液で見るやり方だが、これだけ覚えとけばことたりる。色については各自かくにんするよーに!

  • リトマス(小学校からのおなじみのものだが出ないとは断言できないのよね〜)
  • BTB溶液(PH5〜9くらいを細かく測るのに使う)
  • フェノールフタレイン(変色がPH8近くなので、強酸−強塩基の中和滴定の他、弱アルカリ側で終点を確認できる時の中和滴定に使う)
  • メチルオレンジ(変色がPH4〜6なので、弱酸性側で終点を確認できる時の中和滴定に使う)

PHをはかる際の注意としては中和滴定時の「空気中の二酸化炭素の影響」だ。空気中の二酸化炭素の影響で液体攪拌してるとは徐々に炭酸によって液性が変わっちゃう。だから滴定は素早くやんなきゃいけないわけなのだ。

おまけ・・・大体のPHを知るだけなら実用的には万能PH指示薬を使って済ませる・・・コレってきれいなんだよね。